良い塩梅。
【ヘルシー唐揚げ】
鶏むね肉※塩水に浸す
醤油:酒 1:1
おろしショウガ(好み)
おろしニンニク(好み)
片栗粉・水
菜種油:オリーブオイル 1:1
(^^)/私はいつも、油の量を少量で済ませるために小さなフライパンで揚げ物をします。
しかし、鶏むね肉を何故ただの水ではなく「塩水」に浸すのか…
これは、たんぱく質の可溶化。
添加される食塩によって、筋原線維(ミオシンーアクチン)は変性します。ミオシンは、塩溶性で、食肉製品の保水性や結着性に大きな役割を果たしています。ミオシン・アクチンの相互作用の程度で柔らかさが変わるというわけです。
〜食塩について〜
俸給を意味するサラリーは、ラテン語の形容詞salarium(塩の)に由来。
日本では、縄文時代『素水焚き(そすいだき)』という土器に海水を入れて煮詰める方法で食塩を作っていました。
食塩の資源としては、3つ。
①海水 ②岩塩 ③かん湖(塩水湖)
塩水湖の定義としては、1Lの湖水あたり塩類の総イオン濃度3000mg。
有名なところでは「死海」
海水の塩分濃度は約3%なのですが、あの死海は、なんと、約30%らしい|д゚)
(一度死海に浮いてみたいな。)
【食塩】(塩化ナトリウム)の成分特性としては、体内のナトリウムとカリウムのバランスをとる上で必要な物質で、ナトリウムと塩素に分かれて体内に吸収されます。
ナトリウムは、体液の濃度調整をはじめ、糖やアミノ酸の能動輸送、筋肉収縮、神経の刺激伝達などに関わり、塩素は胃液の生成、消化を促す働きがあります。食塩が生命の維持に必要不可欠だということがよくわかりますね。
しかし必要不可欠な食塩なのに、最近『減塩』という言葉を毎日見たり聞いたりしますね。
摂りすぎると、細胞内・外のミネラルバランスが崩れ、むくみが起こりやすくなります。そして、有名なのが、高血圧症です。胃がんの促進因子とも考えられています。
厚生労働省の目標値として
男性 8g/日 女性 7g/日
高血圧の方には、6g/日未満。
腎臓疾患のある方には、3~6g/日
|д゚)3g?
何故制限が 3gからなのか。
ずばり、食塩は生命の維持として必要不可欠な物質だから!また、3g未満にすることによりヒトの食欲は抑制されてしまうからなんです。
そもそも、介入試験で安全性が確認されているのは、3.8g/日まで。特に要注意なのは、高齢者です。「減塩」は身体に良いとばかりに必死で減塩していると、いつのまにかに「食塩=毒」という考えになっていくようで、同時に食欲が失われてしまうばかりでなく、安全性も保障できなくなります。食欲旺盛は長生きの証!頑張りすぎて身体を壊してしまったら元も子もありませんよね。
ついでに『腎臓』のはなし。
私たちの身体ではどんな仕事をしてくれているのか。腎臓はとても多才なんです。
まず、血圧の調節・体内の水分量と浸透圧の調節・酸塩基平衡(ヒトの血液や体液のpHは7.35~7.45。このバランスを調節)・血液中の酸素が不足すると骨髄にある造血幹細胞に働き赤血球形成を促進するエリスロポエチンの分泌を促す働きetc.....
もしも腎臓が弱ってしまったら。😣
上記の働きが弱まってしまうということになりますよね。
腎臓の最も重要な機能として、体内の不要な水と水溶性物質を尿として排泄することです。
・血尿が出た
・浮腫むことが多い
・濃い味が好き
※こんな方は要注意です。
毎日1500Lの血液は腎臓に流れて濾過され、糸球体ろ過液が毎日約150L作られます。
そして、そのろ過液は、尿細管で水分が99%再吸収され、同時に多くの必要な栄養素なども、能動輸送により再吸収され、実際、尿として血液中の不要なものが排泄されています。
腎臓機能がなくなれば、『無尿』となります。
無尿=血液は濾過されず不要なものも身体に溜まるということです。
そうなってしまったら、精神面・金銭面ともに大きな負担となります😔
食事制限だけでなく、『透析』へ移行し、週3回病院へ通い、機械によって血液をキレイにしてもらわなければなりません。
つまり、トイレに週3回しか行けないということです。(苦しいですね)
話は「食塩」に戻ります。
【良い塩梅】といいますが、ヒトが「美味しい」と感じる塩分濃度は約1%。人間の体液の浸透圧に等しい、生理食塩水の濃度に近いそうです!
煮汁など、濃く感じるものは2%くらいですが、食材が入ることで全体の濃度は薄まります。梅干しや塩辛は、ご飯と一緒に食べることで濃度が薄まるため、お酒のつまみとして食べ続けると、とんでもない塩分摂取量になるわけです(ノ_<)
では、食塩は塩味以外にどんな働きをしてくれるのでしょうか。
①保存効果
②たんぱく質凝固促進
③たんぱく質可溶化
④グルテン形成
⑤脱水作用
⑥酵素作用抑制
⑦塩出し・迎え塩(濃度の濃い方から薄い方へ移る性質を利用している方法)
etc…
なんと!( ゚Д゚)
こんなにたくさんあるんですね。
まず保存効果としては、いう間でもなく、高濃度の食塩によって微生物の原形質分離(細胞の細胞質と細胞膜が分離)し、脱水作用で細胞内の水分が奪われます。濃い食塩水では溶存酸素が少なくなり、好気性菌は生きれなくなるわけです。
一般の菌は、5%で抑制され、15~20%で繁殖できなくなります。
ただ、耐熱性・嫌気性菌も世の中に存在するので要注意!!!有名なのが、カレーによる食中毒(*_*)➡ウェルシュ菌。
次に、
たんぱく質の凝固促進というのは、食塩には、たんぱく質の熱凝固を早める働きがあります。茶わん蒸しの卵液が出汁で希釈されても硬くなる原理がこれにあたります。そして、可溶化というのは、つみれを作る際に、食塩をすり身に加えることにより、グロブリン系たんぱく質(アミノ酸のみのたんぱく質)が溶け出して旨味になるということをいいます。
グルテン形成は、パンなど作っている方には「あ、はいはいはい」みたいな話で、、、😜
小麦粉に水を加えてこねると粘弾性を持つグルテンが形成され、食塩を加えることでグルテン形成は強められるという、そんな話です('ω')
酵素作用の抑制というのは、
例えば、リンゴを剥いて食塩水に浸しますが、浸すことで褐変を遅らせています、(ポリフェノールの一種であるエピカテキンやクロロゲン酸が酸化してしまうのをナトリウムイオンが壁を作って酵素の働きを抑え、酸化を防止してくれているんです)また、果実や野菜ジュースを作る際に食塩を入れることで、ビタミンCの酸化を遅らせることが出来ます。
今年の夏は一段と暑く感じますね。
涼しく過ごせる日がとても幸せに感じてしまうのは私だけでしょうか(^^;;
高温多湿の環境においては、こまめに水分補給・そして適度な塩分をお忘れなく!!!
厚生労働省の目標値として
男性 8.0g/日 女性 7.0g/日
※高血圧の方には、6.0g/日未満。
腎臓疾患のある方には、3.0~6.0g/日
【参考資料】
日本食品大事典
栄養科学シリーズNEXT生化学・調理学
実践栄養管理パーフェクトマスター